日常ブログ[美術コース]

こんにちは!

1年生の専攻美術の授業では、上半期は「ファイン(絵画)」と「デザイン」を2クラスで交互に学んでいきます。絵画の課題は「油画の自画像」でした。

自画像はとても身近なモチーフです。毎日鏡を見ない日がないと言っていいくらい、自分の顔は普段から見慣れていると思います。ですがモチーフという視点で自分の顔をまじまじと観察したことがある人は少ないかもしれません。観察を通して沢山のことを発見すればするほど普段いかに自分達が一つの側面からでしか対象を見れていないかに気づくかと思います。それに加えて今回はほとんどの人が初めて扱う油絵…。私(河邊)も慣れない頃は油絵の扱いの難しさに手を焼いたことを昨日のことのように思い出します…。ですが私はテレビで象使いの映像を見ながらこんなことをふと思うのです。猛獣のように扱いづらいものほど、扱えるようになった時は、象を自在に操るように自分の限界値以上のすごいことができる可能性を持っているのでは?と(笑)。扱いは難しいけれど味方にすると様々な表現が可能になる、そういう素材であってほしいなんて思っています。

ということで今回の優秀作品とその講評です。

 

やりとりをしながら積極的に絵具を置けています。落ち着いた緑色の色調の中で飛び込んでくる赤色のリボンや木の実?のリズム感の良さなど画面構成としても何か目を惹き付けられるものがあります。顔についても途中より観察するようになりどんどん内容が良くなってきました。自画像の目や髪の毛など左右で対になっているところで、もう少し意識的に変化をつけることでさらに画面に動きを与えられるかと思います。

 

色がまだ生っぽく形の描き出しが少し単調なところもありますが、設定や描き込みといったところで積極性を感じます。顔の色味にも単純な肌色ではない幅が出てきました。構成に関しては顔周辺の生き物の配置が、場所によっては自画像との関係を悪くみせているところもあるので、もう少し自画像の形や空間的な兼ね合いを考えつつ自然に見える配置ができればよかったですね。

 

柔らかな色調と描き味が持ち味です。この色調の中で自画像と背景とで絵具の質を大きく変化させているところが画面として効果的に働いています。体周辺に関してはやりとりがやや少なくなったのか描き込みが単調で沈んでしまった感がありますが、顔を中心とした緊張感を作り出せているところはとても好印象です。顔は柔らかさの中にもしっかりとした形の強さを感じる描き込みができています。

 

暗めの調子で雰囲気が漂う作品ですね。絵具の変化の与え方や色の選び方にもセンスを感じますし、描き込みについても必要なポイントを押さえながら鏡をよく観察して描いているのが伝わります。細部をよく観察する姿勢はいいですが、首の沈み加減に対し顔だけに集中する明るさなどはまだ違和感もあります。捉え方があまり部分的にならないよう対象全体の光の状況をよく確認して描き進められるとさらに良くなるでしょう。

 

1年生最初の専攻課題がこれで終わりました!

次回はデザインと絵画でクラスが入れ替わります。今回の絵画選択者が次回のデザインでどういう作品を作るのか楽しみにしています!