日常ブログ[美術コース]

2年生二学期の専攻課題が終了しました!

この時期には表現力も試される課題が出されます。何かをつかめそうな感じが見えてきた作品も見受けられました!いくつか紹介します!

 

油画専攻

課題「石またはトイレットペーパーを選び、モチーフが任意の状況にあることを想定して描きなさい。」

 

自然災害跡のような住宅に大岩が乗っかっているイメージで課題に対して積極的にこたえようとする姿勢が感じられます。描写は素朴ですが質感がよく出ていて味のある色味とタッチです。奥側の背景の状況や処理が少し曖昧なところがあるのが気になるのと、画面いっぱいに石を入れることで石の迫力は感じますが、同時にこの非日常的な状況の面白さを強調するには例えば見上げなどの少し違う視点や住宅の様子が伝わりやすい引きで構図どりをするなど考えてみてもよかったかもしれません。

(河邊)

 

アトリエという日常の空間を描いていますが、石が不自然にあるにも関わらず周囲の人間はそれを気に留めていないような、石の存在感と周囲の気配のなさの対比が何か夢の中の風景のような不思議な感覚をおぼえます。描写力や絵具の重ね方など総合的にみると少し単調で経験の浅さも感じますが色味の選択や塗りの簡潔さもこの雰囲気を醸し出す要素になっていますね。
(河邊)

 

課題へのこたえ方としてはやや弱いですが、モチーフと背景との間(ま)を意識した構図やモチーフの描写、背景のマチエールの工夫などといった点に絞って画面を作るといったある種の潔さも感じられます。とはいえ見せ場やマチエールといったそれぞれの要素でも少し物足りなさを感じる点は課題点です。また手前と背景とで統一感を作るかあるいは対比させるか、背景の状況に具体性を持たせるかあるいは持たせないとするとどういう仕事が必要かなど、この先にもいくつか選択肢があり何を大切にするかにより絵の方向性が決定するので自分のイメージをより掘り下げて臨むことが必要です。

(河邊)

 

 

 

 

デザイン専攻

課題「美しい花をモチーフに『Wow!』の文字を配置し色彩構成を完成させなさい。」

 

勇気を持って大胆に色相を減らすことで、造形に注目させる効果を生んだ美しい色彩構成です。造形に関しても複雑な構成を選ばず、シンプルな造形で左下から勢いを増していくエネルギーをうまく表現し、「WOW」の躍動感を表すことが出来ています。ややあっさり纏まりすぎているところがあるので、エスキース段階での構図の検討がもう少しあっても良かったかもしれません。

(宮田)

 

テーマに沿った「WOW」の躍動感のある分かりやすい色彩構成となっています。高い彩度を組み合わせることで、賑やかさや軽さ、新鮮さ、インパクトの表現に成功しています。大きな面の中に1つのモチーフが配置されると、やはりそこに目が行きがちである分、画面上部の花の形が果たしてこの形で良かったのかまで意識を向けられたらいいですね。

(宮田)

 

 

構図の思い切りとモチーフの抽象化によって清々しく、面白みのある色彩構成となっています。やや、「WOW!」と背景の関係が曖昧なので、色の検討をしてもいいかもしれません。更に、シンメトリーに花を配置し背景に大きい面を作ったことから塗りの甘さに目が行ってしまうので、絵具の塗りの研究を重ねていくといいですね。

(宮田)

 

構図の工夫で、テーマの「WOW」の賑やかさや新鮮さやインパクトがよく表現できていると思います。花の表現にややばらつきがあり決めかねている様子が、途中段階である作品の印象を与えてしまうので、エスキースの時点で検討して、制作に進めるといいですね。

(宮田)

 

花火を花に見立て線で花束の表現を行う、具象と抽象を上手く使った巧みな表現となっています。一枚の紙の中に映像が浮かぶような動きのある表現も良いですね。背景は、多少他の色を混ぜた黒を選択することで色幅が広がるので、更に色の検討をする必要があるかもしれません。「WOW」の文字はグラデーションで果たして良かったのか、もう少しエスキースで検討してから進められるといいですね。

(宮田)

 

彫刻・工芸専攻

課題「彫刻:石膏像(アバタのヴィーナス)を模刻しなさい」

 

デザインの受験を決めている彼女ですが、受験内容にも含まれる立体的な造形力を付けるため彫刻課題を専攻しました。初めての模刻はかなり難しく感じたのではないでしょうか?すべての角度から形を合わせる模刻はデッサンに比べると難易度がグンと上がります。それほど難しいのですから、もし手ごたえを感じていなくてもかなりの造形力がついていますよ!これからが楽しみです!

(佐藤)

 

課題「工芸:紙風船と片手を構成し『軽さ』を表現しなさい。」

そっと落ちてしまいそうな緊張感が漂い、軽さがうまく引き出せていますね。紙風船のディティールにもこだわって行けたことも良さにつながっています。手のポージングや動きに固さがあり、やや軽さを邪魔している側面もあるので、全体感を通して表現をコントロールできると尚よいですね!

(佐藤)

 

よく見ていますね!モチーフの持ち味をしっかりと強調した表現で目を引き付けます。無理のない構成もまたまとまりがありよいですね!若干、強調した表現の「強さ」が軽さを表現するための「静かさ」とケンカして見えてしまいます。その辺の調和が次の課題かなと思います!

(佐藤)

 

 

水彩専攻

課題「静物着彩をしなさい。」

 

モチーフの置かれている状況が見やすく、空間の前後関係もすっきりと描き分けています。

絵の具の彩度が全体的に高い感じがするので、例えば影側や反射光の所で白を混ぜたようなくすんだ色、彩度の低い色を使うと、もう少し遠近の差がでたのではないかと思います。

(山本)

 

色のコントラストの高さによってメリハリがあり、水彩では出しにくい強さを出せているのが良い所です。さらにハーフトーンの色幅も出て来て、暗さからのつながりがなめらかになって来ました。形を追いかけるとキワの見え方が少し簡単になりがちなので、葉っぱの所などは前後関係なども比較しながら手を入れられると尚良かったです。

(山本)

 

持ち味の淡いトーンで、背景の光とのつながりがとてもきれいに描けています。

床面との接地点がやや明るく、ふわぁっとして見えるので、接地面に暗さを置き、それぞれのモチーフの位置によって強弱も与えられると良かったです。鉢と植物の茎の色も似てしまったので、描き分けられるようにしましょう。

(山本)