美術デザインコース

1年生専攻美術前期(ファイン)優秀作品

2019.1.19

今回の課題は自画像油彩でした。前回1学期で行った課題を今回2学期クラスを入れ替えて同じ課題を行ったわけですが、前回の油彩選択者と比べても今回は力作が多かった気がします。それでは今回の優秀作品を紹介します。

構図の収まりが自然で人物のたたずまいを感じさせる絵です。全体的によく手が入っておりハーフトーンの調子も豊かで、筆やナイフで絵具の置き方に変化を与える工夫も見られます。細部のよく観察し素直に描けているところにも好感が持てます。全体的にはよく描けていますが、背景にもう少しやりとりがほしいところと、手前の肩の形体のあいまいさ、髪の毛の色味の単調さ、頭部の回り込みの弱さなどその先の完成度を求めたくなりますね。

 

逆光をいかした構成で、背景の一部に明るい抜けの間を作ることでとても明解で見やすい画面となっています。暗い調子にも色の彩度を意識して捉えることで、大部分が影という設定の中でも色味が沈まずに柔らかい光を感じることができます。顔の表情も豊かで描写力も伺えますが、頭に近い位置の植物の描写まで詰め切れるとさらに良かったのと、自画像の色味に対して花や植物の色味がやや固有色に寄り過ぎて画面としての調和が少し弱くなってしまった点が惜しいと感じました。

 

自画像を正面から捉え中心に配置した構図では、ともすれば画面の動きがなくなりやすいところがありますが、強い光を一方からあてた設定と髪の毛や肩の傾きといった左右での微妙な変化を捉えたことが画面にほどよい動きを与えています。とはいえまだ描き起こしが硬く単調な印象があるのは惜しい点ですが、よくやりとりをして描き切った強さを感じます。背景も抜け空間ではなく形として意識しやすい壁設定にし人物と異なる対比的な質感表現にしたことで四隅まで張りのある緊張した画面を作りだせています。

 

自画像の大きさに臆することなく何度もやりとりした結果がよく表れています。特にやりとりが豊富な顔の形体と調子、透明感がある肌の色味は好印象です。瞳の印象がやや沈みすぎてそのせいか顔の表情が少しかたい印象を受けるのと、柔らかな顔や背景の色調に対して髪の毛や黒目、暗い陰影といった黒さや暗さの表現にもう少し工夫を持たせられるとさらに良いと思います。

 

暗い調子をうまく利用して髪の毛やセーターはあえて説明しすぎず白いシャツと顔に絞った絵の見せ方はセンスを感じさせます。また自画像奥からの光のような強い色面がこの絵のアクセントとしてよく効いています。豚毛のタッチで描かれた自画像の肌質などには妙なリアルさを感じる一方で肌色も含め色味の選び方がやや観念的で少し単調に見えるところが惜しいところです。

 

以上1年生後期の自画像油彩でした。